jQuery addBack()
メソッドの詳細ガイド
jQuery の addBack()
メソッドは、DOM 要素の操作において、前の選択範囲に戻って要素を追加する強力な機能を提供します。これは、複数のセレクタを介して操作を連鎖させたい場合に特に便利です。
1. はじめに
addBack()
メソッドは、jQuery のメソッドチェーンにおいて、直前の選択範囲を記憶し、その範囲の要素を現在の選択範囲に追加する機能を提供します。これにより、複数のセレクタを組み合わせて操作を行う際に、選択範囲を柔軟に操作できます。
2. 構文
$(selector).addBack()
$(selector).addBack(selector)
説明:
.addBack()
: 直前の選択範囲の要素を現在の選択範囲に追加します。.addBack(selector)
: 直前の選択範囲の要素のうち、指定したselector
に一致する要素のみを現在の選択範囲に追加します。
3. 動作原理
addBack()
メソッドは、jQuery のメソッドチェーンにおいて、直前の選択範囲を記憶します。メソッドが呼び出されると、記憶された選択範囲の要素が現在の選択範囲に追加されます。重要なのは、addBack()
は元の選択範囲を変更せず、新しい jQuery オブジェクトを返す点です。
4. 使用例
4.1 子要素操作後に親要素を選択する
リスト内のすべてのリストアイテムのリンクを選択した後、addBack()
を使用してリストアイテム自体を選択する例です。
<div class="example-container">
<ul>
<li>Item 1 <a href="#">Link</a></li>
<li>Item 2 <a href="#">Link</a></li>
<li>Item 3 <a href="#">Link</a></li>
</ul>
<button id="demoAddBack">子要素操作後に親要素を選択する</button></div>
$('li a').addClass('active').addBack().css('background-color', '#eee');
4.2 フィルタリングメソッドと組み合わせて使用する
すべての段落を選択し、特定のテキストを含む段落をフィルタリングした後、addBack() を使用してすべての段落を選択範囲に戻す例です。
<div class="example-container">
<p>これは段落です。</p>
<p>これは jQuery についての段落です。</p>
<p>これも段落です。</p>
<button id="demoFilterAddBack">フィルタリングメソッドと組み合わせて使用する</button></div>
$('p').filter(':contains("jQuery")').addClass('highlight').addBack().css('font-size', '16px');
5. `end()` メソッドとの違い
end()
メソッドは、メソッドチェーンにおいて、1 つ前の「親」選択範囲に戻ります。一方、addBack()
メソッドは、直前の選択範囲の要素を現在の選択範囲に追加します。
メソッド | 説明 |
---|---|
addBack() |
直前の選択範囲の要素を追加します。 |
end() |
1 つ前の選択範囲に戻ります。 |
5.1 `end()` メソッドとの比較例
// リストアイテムのリンクを選択し、赤色に設定
$('li a').css('color', 'red')
// リストアイテムを選択し、背景色を黄色に設定
.addBack().css('background-color', 'yellow')
// リンクの選択範囲に戻り、下線を引く
.end().css('text-decoration', 'underline');
6. まとめ
addBack()
メソッドは、jQuery のメソッドチェーンにおいて、柔軟かつ効率的な DOM 操作を可能にする強力なツールです。前の選択範囲の要素を簡単に追加できるため、コードの可読性と保守性が向上します。
7. Q&A
質問 | 回答 |
---|---|
addBack() メソッドは、どのような場合に役立ちますか? |
複数のセレクタを介して操作を連鎖させたい場合や、子要素の操作後に親要素を選択したい場合に役立ちます。たとえば、フィルタリングや選択範囲の拡張などが可能です。 |
addBack() と end() の違いは何ですか? |
addBack() は直前の選択範囲の要素を追加しますが、end() は 1 つ前の選択範囲に戻ります。end() メソッドは選択範囲を元に戻すのに対し、addBack() は選択範囲に要素を追加します。 |
addBack() メソッドを使用する際の注意点はありますか? |
addBack() は元の選択範囲を変更せず、新しい jQuery オブジェクトを返します。これにより、連鎖する操作の間で選択範囲を保持し続けることができます。 |