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Azure Blockchain Service:Microsoftのブロックチェーンへの取り組みと終焉

Microsoftはかつて、Azure Blockchain Serviceというブロックチェーンプラットフォームを提供していました。2021年9月にサービス終了となりましたが、Microsoftのブロックチェーンへの取り組みを理解する上で重要なサービスです。この記事では、Azure Blockchain Serviceの特徴、その歴史、そしてサービス終了の背景とその影響について詳しく解説します。

Azure Blockchain Serviceとは?

Azure Blockchain Serviceは、Microsoft Azureのクラウドプラットフォーム上でブロックチェーンネットワークを容易に構築、管理、運用できるBaaS(Blockchain as a Service)ソリューションでした。特に、コンソーシアム型ブロックチェーン、つまり複数の企業が共同で管理・運用するブロックチェーンネットワークの構築に最適化されていました。企業間のデータ共有や連携を安全かつ効率的に行うシナリオを想定して設計されていました。

Azure Blockchain Serviceの歴史

Microsoftのブロックチェーンへの取り組みは2015年に遡ります。

  • 2015年11月: ブロックチェーンソフトウェアテクノロジー企業であるConsenSysとの提携を発表し、Ethereum Blockchain as a Service (EBaaS) を発表しました。これは、Azure上でEthereumブロックチェーンネットワークを簡単に構築できるサービスでした。

  • 2016年1月: Azure DevTest Labsでブロックチェーン関連サービスのプレビュー提供を開始。開発者やテスト担当者がブロックチェーン環境を容易に構築・破棄できる環境を提供しました。

  • その後: これらの取り組みを基に、Azure Blockchain Serviceとして正式にサービス提供が開始されました。

当初、Microsoftはブロックチェーン技術、特にその分散型台帳としての可能性に注目し、銀行や金融業界をはじめとする様々な業界からの関心の高まりを受けて、Azure Blockchain Serviceを開発・提供しました。

Azure Blockchain Serviceの特徴

Azure Blockchain Serviceは、以下の特徴を備えていました。

  • 容易なデプロイメント: Azureポータルから、シンプルな操作でブロックチェーンネットワークを構築できました。専門的な知識がなくても、比較的容易にブロックチェーン環境を立ち上げることが可能でした。

  • ConsenSys Quorumのサポート: エンタープライズ向けEthereumクライアントであるQuorumをサポートしていました。Quorumは、高いパフォーマンスとプライバシー保護機能を備えており、企業利用に適していました。

  • 統合されたAzureサービス: Azure Active Directory、Azure Monitor、Azure Key Vaultなど、他のAzureサービスとシームレスに統合されていました。これにより、堅牢なセキュリティ対策、詳細な監視機能、そしてセキュアな鍵管理を実現していました。

活用事例(顧客として掲載されていた企業)

Azure Blockchain Serviceの製品ページには、General Electric (GE)、J.P. Morgan、シンガポール航空、Starbucks、Xboxといった有名企業が顧客として掲載されていました。これらの事例は、ブロックチェーン技術が様々な業界で、多様な用途で検討されていたことを示しています。

サービス終了の背景と影響

2021年9月10日、Azure Blockchain Serviceはサービスを終了しました。Microsoftは公式な終了理由を明示していませんが、以下のような要因が考えられます。

  • ブロックチェーン市場の成熟度の不足: 2021年当時、ブロックチェーン技術はまだ発展途上にあり、エンタープライズでの大規模な導入事例は限られていました。市場全体の成長が予想よりも遅かったことが要因の一つと考えられます。

  • 需要の変化: 当初の予想とは異なり、ブロックチェーンの需要は特定の業界(例えば、サプライチェーン管理)に集中し、Azure Blockchain Serviceが想定していたコンソーシアム型ブロックチェーンへの需要は限定的だった可能性があります。

  • 競合サービスの台頭: 他のクラウドベンダー(AWS、Google Cloudなど)やブロックチェーン専門企業が提供するサービスとの競争激化も影響したと考えられます。

Microsoftは、Azure Blockchain Serviceのユーザーに対して、ConsenSys Quorum Blockchain Serviceへの移行を推奨していました。また、Azureの仮想マシン上でブロックチェーンを自己管理するオプションも提供することで、既存ユーザーの移行を支援していました。

まとめ

Azure Blockchain Serviceは、Microsoftがブロックチェーン技術の可能性に賭けたサービスでしたが、市場の状況変化により終了となりました。しかし、Microsoftはブロックチェーン技術への関心を失ったわけではなく、現在ではAzure Confidential LedgerやMicrosoft Entra Verified IDなどのサービスを通じて、ブロックチェーン技術の応用を模索しています。Azure Blockchain Serviceで得られた経験とノウハウは、これらの新しいサービス開発にも活かされていると考えられます。

よくある質問 (QA)

Q1: Azureのブロックチェーンサービスはどのように始めますか?

A1: Azureポータルから「ブロックチェーンサービス」を選択し、新しいブロックチェーンネットワークを作成できます。

Q2: スマートコントラクトのデプロイはどのように行いますか?

A2: Web3.jsを使用して、Ethereumネットワークに対してスマートコントラクトをデプロイできます。

Q3: Azureブロックチェーンの主な利点は何ですか?

A3: セキュリティ、スケーラビリティ、高いユーザビリティなど、多くの利点があります。