Oracle Blockchain Table:データベースにおける改ざん防止へのアプローチ
Oracle Databaseのセキュリティ対策とBlockchain Tableの位置付け
Blockchain Tableとは?
イミュータブル性(不変性): INSERT操作のみ許可され、データの更新・削除は一切できません。これにより、データの改ざんを事実上不可能にします。ハッシュ値による連鎖: 各行は一つ前の行のハッシュ値と暗号学的に連鎖されています。このハッシュチェーンにより、データの整合性を検証し、改ざんを確実に検知できます。
Blockchain Tableの利用方法
1. 事前準備 (Oracle Database 19cの場合)
RU 19.10とパッチ32431413の適用: 必要なファイルを提供します。COMPATIBLEパラメータの変更 (19.10.0.0.0): Blockchain Table機能を有効化します。パッチ30828205の適用 (Data Pumpユーティリティを使用する場合): COMPATIBLEパラメータ変更によるData Pumpユーティリティの不具合を回避します。
2. Blockchain Tableの作成
CREATE BLOCKCHAIN TABLE table_name (column_definitions)
NO DROP [UNTIL n DAYS IDLE]
NO DELETE [UNTIL n DAYS AFTER INSERT] [LOCKED]
HASHING USING "SHA2_512" VERSION "v1";
NO DROP [UNTIL n DAYS IDLE]: テーブルの削除制限を指定します。n日を経過したデータがテーブルに存在しない場合に限り、テーブルを削除できます。NO DELETE [UNTIL n DAYS AFTER INSERT] [LOCKED]: 行の削除制限を指定します。挿入からn日を経過した行は削除できます。LOCKEDキーワードを指定すると、この保存設定自体を変更できなくなります。HASHING USING "SHA2_512" VERSION "v1": ハッシュアルゴリズムとバージョンを指定します。
3. データ登録
4. データ移行
5. データ整合性検証
6. データ削除
Blockchain Tableの制約
INSERT以外のDML操作(UPDATE、DELETE)は実行できません。 テーブル定義の変更(列の追加、変更など)はできません。 Data Pumpユーティリティの使用に制限があります。 NO DROPを指定すると、後から解除できない不具合が存在します(パッチで対応予定)。
Blockchain Tableの活用事例と課題
アプリケーションのアクセスログや監査ログ セキュリティ上重要な記録(例:高セキュリティエリアへの入退室記録) 法律上確実な保存が要求される情報(例:企業の会計、財務データ) 外部からの攻撃に対して保護すべきデータ(例:勘定系システム、決済系システムのデータ)
まとめ
Q&A
Q1: Oracle Blockchainはどのような業界で利用されていますか?
A1: Oracle Blockchainは、物流、金融サービス、製造業、食品業界など、さまざまな業界で利用されています。
Q2: スマートコントラクトとは何ですか?
A2: スマートコントラクトは、特定の条件が満たされたときに自動的に実行される契約です。
Q3: Oracle Blockchainの導入は難しいですか?
A3: いいえ、Oracle Blockchainはテクニカルスキルが限られている企業でも簡単に導入できるように設計されています。