jQuery deferred.pipe() メソッド詳解:非同期操作のチェーン呼び出しと処理
この文章では、jQuery の deferred.pipe()
メソッドについて詳しく解説し、非同期操作のチェーン呼び出し、戻り値の受け渡し、エラー処理をどのように優雅に行うかを理解します。
1. jQuery Deferred オブジェクトとは?
- Deferred オブジェクトは、非同期操作の最終的な状態(成功、失敗、または進行中)を表すために使用されます。
- 非同期操作の状態変化を監視し、状態が変化したときに対応するコールバック関数を実行するためのメソッドを提供します。
2. deferred.pipe() メソッドの役割
deferred.pipe()
メソッドは、then()
メソッドの拡張版であり、非同期操作が完了する前後に結果のフィルタリング、変換、操作を行うことができます。- 新しい Deferred オブジェクトを返すため、複数の非同期操作をチェーンして処理できます。
3. deferred.pipe() メソッドの構文と引数
deferred.pipe( [doneFilter ], [ failFilter ], [ progressFilter ] )
- **doneFilter (オプション):** Deferred オブジェクトが正常に解決されたときに呼び出される関数。Deferred オブジェクトの結果を引数として受け取り、新しい結果を返します。この結果は、次の
pipe()
またはthen()
メソッドに渡されます。 - **failFilter (オプション):** Deferred オブジェクトが拒否されたときに呼び出される関数。拒否の理由を引数として受け取り、新しい結果を返すか、エラーをスローします。
- **progressFilter (オプション):** Deferred オブジェクトが progress 通知をトリガーしたときに呼び出される関数。
4. deferred.pipe() 使用例
例 1: 非同期操作の結果の変換
var deferred = $.Deferred();
// 非同期操作をシミュレートする
setTimeout(function() {
deferred.resolve("success");
}, 1000);
deferred.pipe(function(result) {
return "操作は " + result + " でした";
}).done(function(result) {
console.log(result); // 出力: "操作は success でした"
});
例 2: 非同期操作のチェーン呼び出し
var deferred1 = $.Deferred();
var deferred2 = $.Deferred();
deferred1.resolve("こんにちは、");
deferred1.pipe(function(result1) {
// 別の非同期操作をシミュレートする
setTimeout(function() {
deferred2.resolve(result1 + "世界!");
}, 500);
return deferred2.promise();
}).done(function(result2) {
console.log(result2); // 出力: "こんにちは、世界!"
});
5. deferred.pipe() と then() の違い
機能 | pipe() |
then() |
---|---|---|
導入バージョン | jQuery 1.8 | jQuery 1.5 |
主な用途 | 非同期操作の結果のフィルタリング、変換、操作 | 成功および失敗コールバック関数の追加 |
戻り値 | 新しい Deferred オブジェクト | 元の Deferred オブジェクト |
pipe()
メソッドは jQuery 1.8 でthen()
メソッドの拡張版として導入されました。pipe()
は非同期操作の完了前後に結果のフィルタリング、変換、操作を行うことができますが、then()
は主に成功と失敗のコールバック関数を追加するために使用されます。pipe()
は新しい Deferred オブジェクトを返すため、複数の非同期操作をチェーンして処理できますが、then()
は元の Deferred オブジェクトを返します。
6. まとめ
deferred.pipe()
メソッドは、jQuery で非同期操作を処理するための強力なツールです。非同期操作の結果とエラーをより柔軟かつ制御可能な方法で処理し、複雑な非同期フロー制御を実装できます。
関連リソース
Q&A
Q1: deferred.pipe()
メソッドは、いつ使用すべきですか?
A1: 非同期操作の結果をチェーンして処理したり、結果をフィルタリング、変換、操作したりする必要がある場合に、deferred.pipe()
メソッドを使用します。
Q2: deferred.pipe()
と then()
のどちらを使用すべきですか?
A2: 非同期操作の完了前後に結果を操作する必要がある場合は、deferred.pipe()
を使用します。成功と失敗のコールバック関数を追加するだけでよい場合は、then()
を使用します。
Q3: deferred.pipe()
メソッドの利点は何ですか?
A3: deferred.pipe()
メソッドの利点は次のとおりです。
- 非同期操作の結果をチェーンして処理できます。
- 結果をフィルタリング、変換、操作できます。
- エラー処理をより柔軟に行えます。