jQuery deferred.rejectWith() メソッド

 

jQuery deferred.rejectWith() メソッド詳解 - Deferred オブジェクトの深掘

本稿では、jQuery の Deferred オブジェクトにおける `rejectWith()` メソッドについて掘り下げて解説します。その役割、構文、パラメータ、そして実際の使用シーンを紐解きながら、Deferred オブジェクトを用いた非同期処理の理解を深めていきましょう。

目次

  1. Deferred オブジェクトとは?
  2. rejectWith() メソッド詳解
  3. rejectWith() と reject() の違い
  4. rejectWith() の適用シーン
  5. まとめ

1. Deferred オブジェクトとは?

Deferred オブジェクトは、JavaScript で非同期処理を行う際に、処理の成功や失敗、進行状況といった状態を管理するためのオブジェクトです。Promise とも呼ばれ、非同期処理の結果や発生する可能性のあるエラーを一元管理することで、コードの可読性と保守性を向上させる役割を担います。

Deferred オブジェクトの状態

Deferred オブジェクトは以下の3つの状態を持ちます。

  • pending(保留): 非同期処理が実行中で、まだ結果が確定していない状態。
  • resolved(解決): 非同期処理が成功し、結果が用意できた状態。
  • rejected(拒否): 非同期処理が失敗し、エラーが発生した状態。

Deferred オブジェクトのメソッド

Deferred オブジェクトは状態遷移に応じて実行されるコールバック関数を登録するためのメソッドを提供します。

  • `.done(callback)`: Deferred オブジェクトが resolved 状態になった時に実行されるコールバック関数を登録します。
  • `.fail(callback)`: Deferred オブジェクトが rejected 状態になった時に実行されるコールバック関数を登録します。
  • `.always(callback)`: Deferred オブジェクトの状態が resolved または rejected になった時に実行されるコールバック関数を登録します。

2. rejectWith() メソッド詳解

`rejectWith()` メソッドは、Deferred オブジェクトを rejected 状態に遷移させると同時に、`fail` コールバック関数に渡すコンテキストと引数を指定します。

構文

deferred.rejectWith(context, [args])

パラメータ

  • `context`: `fail` コールバック関数内で `this` として参照されるオブジェクトを指定します。
  • `args`: `fail` コールバック関数に渡す引数を配列で指定します。

コード例


var deferred = $.Deferred();

// rejectWith() を使用して Deferred オブジェクトを rejected 状態にし、
// コンテキストと引数を指定する
deferred.rejectWith(
  { status: 'error', message: 'エラーが発生しました' },
  ['エラーコード: 123']
);

// fail() メソッドで rejected 状態の処理を行う
deferred.fail(function(errorCode) {
  console.log(this.status); // "error"
  console.log(this.message); // "エラーが発生しました"
  console.log(errorCode); // "エラーコード: 123"
});

3. rejectWith() と reject() の違い

`rejectWith()` と `reject()` はどちらも Deferred オブジェクトを rejected 状態に遷移させるメソッドですが、`rejectWith()` は `fail` コールバック関数のコンテキストを指定できる点が異なります。`reject()` は `rejectWith(this, arguments)` と同等の処理を行います。

メソッド 説明
`rejectWith(context, [args])` コンテキストと引数を指定して Deferred オブジェクトを拒否します。
`reject([args])` 引数のみを指定して Deferred オブジェクトを拒否します。コンテキストは `this` になります。

4. rejectWith() の適用シーン

`rejectWith()` メソッドは、`fail` コールバック関数に特定のコンテキストと引数を渡したい場合に特に役立ちます。例えば、以下のようなケースで使用されます。

  • AJAX リクエストエラーの処理

    AJAX リクエストエラーが発生した場合、エラーの種類に応じて異なる情報を `fail` コールバック関数に渡したいことがあります。

    
    $.ajax({
      url: '/api/data',
      method: 'GET'
    })
    .done(function(data) {
      // 成功時の処理
    })
    .fail(function(jqXHR, textStatus) {
      // エラー時の処理
      if (jqXHR.status === 404) {
        $(this).rejectWith({ type: 'notFound' }, ['データが見つかりません']);
      } else {
        $(this).rejectWith({ type: 'serverError' }, ['サーバーエラーが発生しました']);
      }
    });
        
  • カスタム非同期処理

    独自の非同期処理を実装する際に、特定の条件下で Deferred オブジェクトを拒否し、エラー情報を渡したい場合があります。

    
    function myAsyncFunction() {
      var deferred = $.Deferred();
      // ... 非同期処理 ...
      if (/* エラー条件 */) {
        deferred.rejectWith(
          { code: 'ERROR_CODE' },
          ['エラーメッセージ']
        );
      } else {
        deferred.resolve(/* 成功時の値 */);
      }
      return deferred.promise();
    }
        

5. まとめ

本稿では、jQuery の Deferred オブジェクトにおける `rejectWith()` メソッドについて解説しました。`rejectWith()` メソッドは、Deferred オブジェクトを拒否状態にする際に、`fail` コールバック関数のコンテキストを指定できる点が特徴です。これにより、エラー処理時に必要な情報を的確に伝えることが可能になります。Deferred オブジェクトと `rejectWith()` メソッドを適切に使用することで、非同期処理をより安全かつ効率的に実装することができます。

関連文献

Q&A

Q1: `rejectWith()` と `reject()` の使い分け方を教えてください。

A1: `fail` コールバック関数内で特定のコンテキストを参照する必要がある場合は `rejectWith()` を、そうでない場合は `reject()` を使用します。`reject()` は `this` をコンテキストとして使用するため、`rejectWith()` よりもシンプルに記述できます。

Q2: `rejectWith()` を使用しない場合、どのような問題が発生する可能性がありますか?

A2: `fail` コールバック関数内で、意図したコンテキストを参照できないため、エラー処理が正しく行われない可能性があります。特に、複数の Deferred オブジェクトを扱う場合や、オブジェクト指向でコードを記述する場合に問題が発生しやすくなります。

Q3: Deferred オブジェクトは、jQuery 以外のライブラリでも使用できますか?

A3: はい、Deferred オブジェクトは、Promise という概念に基づいており、jQuery 以外のライブラリでも広く使用されています。例えば、ネイティブな JavaScript でも Promise オブジェクトが提供されていますし、他のライブラリでも独自の Promise 実装を提供している場合があります。基本的な概念は同じなので、jQuery で Deferred オブジェクトの使い方を理解しておけば、他のライブラリでも応用することができます。