AngularJS Angular 移行

AngularJSからAngularへの移行: 効率的な手法とベストプラクティス

本記事では、AngularJSから最新のAngularへの移行プロセスにおける具体的な手法や注意点、ベストプラクティスを詳しく解説します。移行を検討している開発者やチームに向けて、スムーズな移行を実現するための情報を提供します。

レガシー技術の移行プロジェクトでの学び

この移行プロジェクトは数年にわたる大規模な作業でした。AngularJS から Angular2系への移行にあたり、多くの課題に直面し、それを解決する過程で多くの学びを得ました。この記事では、私たちが選んだ移行先技術や具体的な作業内容、またプロジェクト全体で得られた知見を共有します。

なぜ移行先を Angular2系 に選んだのか?

AngularJS から他のフレームワークへ移行する選択肢もありましたが、最終的に私たちは Angular2系を選びました。これにはいくつかの理由がありますが、以下に主なポイントを挙げます。

1. AngularJS からの移行が公式でサポートされている

Angular の公式ガイドでは、AngularJS から Angular2系への移行がサポートされています。公式ドキュメントには詳細なマイグレーションガイドが記載されており、移行を円滑に進めるためのツールも提供されています。特に Angular2系は、AngularJSと並行して動作させることが可能で、移行作業をコンポーネント単位で細かく行えるため、リスクを最小限に抑えることができます。

2. ライブラリとビルド設定の統合

私たちのチームには、フロントエンド専任のエンジニアが少なく、webpack のようなビルド設定に精通したメンバーもいませんでした。当時、React が移行先の候補に挙がっていましたが、React の場合、ライブラリの選定やビルド設定は開発者に委ねられており、変更が頻繁に行われる時期でした。それに対して、Angular2系は必要なライブラリがすでに揃っており、Angular CLI を利用すればビルド設定も簡単に行えます。これにより、スムーズに移行作業を進められる環境を整えることができました。

移行に必要な作業とその比重

AngularJS から Angular2系 への移行には、いくつかの重要なステップがあり、それぞれの作業にどれくらいの時間と労力を費やしたのかを以下にまとめました。

順番 作業内容 作業量の割合
1 サーバーサイドテンプレートの廃止 5%
2 コントローラーとテンプレートのコンポーネント化 5%
3 $scope の廃止 10%
4 AngularJS 標準サービスの置き換え 20%
5 サービスを Angular2系 に置き換え 20%
6 コンポーネントの Angular2系 化 40%
7 ルーターの Angular2系 化 1%未満

以下では、これらの作業についてさらに詳しく説明します。

1. サーバーサイドテンプレートの廃止

Angular2系 では、エントリーポイントとなるHTMLファイルは、基本的に静的なHTMLとして扱われ、バンドルされた JavaScript ファイルのみを読み込みます。サーバーサイドアプリケーションによる動的データの提供は、Angular アプリケーション内で Ajax 経由で取得する形に変更する必要がありました。私たちのアプリケーションでも、サーバーサイドで生成される動的データをコンポーネント化し、これに対応させました。

2. コントローラーとテンプレートのコンポーネント化

AngularJS では、1つのテンプレートファイルに複数のコントローラーを宣言できますが、Angular2系ではコンポーネントのテンプレートとロジックが1対1で対応しています。そのため、テンプレートファイルとコントローラーが複数存在する場合は、それぞれを1対1のコンポーネントに再構築する必要がありました。

3. $scope の廃止

AngularJS でよく使われていた $scope は、データの継承と共有に使用されていましたが、Angular2系では $scope に相当するものは存在しません。代わりに、@Input や @Output といったデコレーターを使って親子コンポーネント間のデータ共有を行います。これに対応するため、すべての $scope 使用箇所を Angular2系 に合わせて書き直しました。

4. AngularJS 標準サービスの Angular2系 への置き換え

AngularJS には多くの標準サービス($http, $timeout など)が存在しますが、これらをすべて Angular2系 の標準サービスやサードパーティライブラリに置き換える作業を行いました。例えば、$http は Angular2系 の HttpClient に置き換え、$timeout は標準の setTimeout を用いる形にしました。

5. サービスを Angular2系 に置き換え

AngularJS で作成していた独自サービスを Angular2系 に再構築しました。Angular2系のサービスは AngularJS でも利用できるようにダウングレードし、移行作業を進めました。

6. コンポーネントの Angular2系 化

最も比重が大きかったのが、コンポーネントの移行作業です。特に他のコンポーネントに依存しない小さなコンポーネントから順に作業を進めていきました。最初のコンポーネントの移行は難航しましたが、一度移行が完了すれば、その後の作業は比較的スムーズに進みました。

7. ルーターの Angular2系 化

ルーターの移行は最小限の作業量で済みましたが、AngularJS のルーターから Angular2系 の Router に置き換える作業は、全体の1%未満の作業量でした。

移行のための具体的な手法

以下の表は、AngularJSからAngularへの移行プロセスにおける推奨される手法をまとめたものです。

手法 説明
モジュールの分割 アプリケーションを小さなモジュールに分け、それぞれを個別に移行する。
Routingの移行 AngularのRouterを使用して、ルーティングの仕組みを変更する。
AngularJSの依存性注入の使用 依存性注入を利用して、Angularへの移行時のコードの再利用性を向上させる。

 

まとめ

AngularJSからAngularへの移行は、単なるテクノロジーのアップデートではなく、アプリケーションのパフォーマンスやメンテナンス容易性を大幅に向上させる機会です。新しいAngularの機能を活用し、スムーズな移行を実現するために、上記の手法とベストプラクティスを参考にしてください。

参考文献

移行に関するさらなる情報は、以下の資料を参照してください。

Q&A

Q1: AngularJSとAngularはどのように異なりますか?

A1: Angularはコンポーネントベースのアーキテクチャを採用しており、パフォーマンスが向上しています。AngularJSはMVCアーキテクチャに基づいています。

Q2: 移行に必要な工数はどれくらいですか?

A2: 移行の工数はアプリケーションの規模や複雑さによりますが、計画的に進めることでスムーズな移行が可能です。

Q3: すぐに移行すべきですか?

A3: 大規模な新機能やセキュリティ更新が必要な場合は、早めの移行を検討することをお勧めします。

その他の参考記事:angularjs npm tutorial